腎臓

「良質なタンパク質」って何?腎臓病で食事を制限する理由

@vet-pet-care

「腎臓病になったらタンパク質を減らしましょう」とよく言われます。
しかし、単に量を減らすだけでは筋肉が落ち、体力が奪われてしまいます。
そこで重要になるのが、今回のテーマである「良質なタンパク質」という考え方です。

実は「良質」とは、「高級」「おいしい」という意味ではありません。
体の中で使われやすく、ゴミ(尿毒症毒素)が出にくい
──これが、腎臓病における「良質なタンパク質」の本当の意味です。

Take home message
  • 良質なタンパク質とは 
    「消化が良く、ゴミが出にくいタンパク質」 です
  • アミノ酸のバランスが良いと、
    少ない量でも 効率よく筋肉を維持 できます
  • 療法食は、
    この 「量より質」 を極限まで突き詰めた食事です

良質なタンパク質
= 余りの無い「パズルのピース」

タンパク質は体の中でバラバラに分解され、
アミノ酸という小さな部品のピースになって再利用されます。


このとき、
アミノ酸のバランスが良いタンパク質ほど、
体に無駄なく使われます。

タンパク質を
「お家を作るためのレゴブロックのセット」
だと考えてみてください。

  • 良質なタンパク質
    家を作るのに必要なパーツが「ちょうど良く」揃っている
    余るパーツがほとんど出ない
    ゴミが少ない
  • 低質なタンパク質
    特定のパーツばかり大量に入っている
    家を作ろうとすると使えないパーツが大量に余る

「質」を決める2つの条件

特に注意して見るべき質を決める物が以下の二つです。

消化率が高い

食べたタンパク質の多くが、きちんと体に吸収される。
腸内で分解されずに残り、
腐敗して毒素になる「残りカス」が少ない。

消化率が高いほど、
腎臓に運ばれるゴミは減ります。

アミノ酸スコア

消化率が高いほど、
腎臓に運ばれるゴミは減ります。
少量でも、筋肉や内臓の材料として効率よく使われる

「少なくても役に立つ」タンパク質です。

 なぜ腎臓病には
「良質なタンパク質」が必要なの?

腎臓は血液をろ過するフィルターです。
使われなかったアミノ酸から生じる
アンモニアや尿素窒素といったゴミは、
すべて腎臓が処理しなければなりません。

低質なタンパク質をたくさん食べると…

  • 使えないアミノ酸が大量に発生
  • ゴミが増える
  • 壊れかけた腎臓(フィルター)に大きな負担がかかる

これが尿毒症の悪化につながってしまいます。

つまり療法食の考え方はこうです

という理由からです。

ここで大切になるのが、「今、腎臓がどのくらい頑張れている段階なのか」を知ることです。

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具体的にどんな食材が「良質」?

一般的に、
植物性タンパク質(大豆など)よりも、
動物性タンパク質の方がアミノ酸バランスに優れています。

そのため、腎臓用の療法食では、
以下のような食材が厳選して使われます。

  • 卵(特に卵白)
    卵は
    「アミノ酸バランスの王様」とも呼ばれます。
    必須アミノ酸を効率よく補うことができ、
    少ない量でも体にしっかり役立つタンパク源です。

  • 新鮮な筋肉部位
    皮や腱など、コラーゲンの多い部位に比べて
    筋肉部位は消化吸収率が高く、体に利用されやすいのが特徴です。

まとめ

「うちの子、タンパク質を減らして
筋肉が落ちないのかな?」
そんな不安を和らげてくれるのが、
「良質なタンパク質」という考え方です。
タンパク質のだけを見るのではなく、
どれだけ体に使われるか
どれだけゴミを出さずに済むか
という視点で、
食事を選んであげましょう。

良質なタンパク質を選ぶためには、
「どれくらい制限が必要な段階か」を知ることが欠かせません。

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よくある質問

Q
タンパク質は減らせば減らすほど良いのですか?

いいえ。
減らしすぎると筋肉量が落ち、体力や免疫力の低下につながります。
腎臓病では「量を減らすこと」よりも、
体に使われやすい良質なタンパク質を選ぶことが重要です。

Q
腎臓病の子にお肉はあげてはいけませんか?

一概に「ダメ」ではありません。
問題になるのは質と量です。

消化しにくい部位や、
タンパク質量が多すぎる食事は腎臓に負担をかけますが、
療法食では必要最低限の量を、使われやすい形で設計しています。

Q
自家製ごはんでも「良質なタンパク質」は作れますか?

理論上は可能ですが、
アミノ酸バランス・リン・カロリー管理が非常に難しいのが現実です。

特に腎臓病では、
「良かれと思って増やした食材」が
逆に腎臓の負担になることもあります。
自家製食を考える場合は、必ず主治医に相談してください。

Q
高齢だからタンパク質は控えた方が良いですか?

年齢だけで制限する必要はありません。

高齢になるほど、
筋肉を維持するためのタンパク質は重要になります。
腎臓の状態に合わせて、
「量を抑えつつ、質を高める」ことが大切です。

Q
フードを変えるだけで腎臓病は良くなりますか?

残念ながら、
腎臓病そのものを治すことはできません。

ただし、
食事管理によって
進行をゆるやかにし、生活の質を保つことは十分可能です。
その土台になるのが、今回お話しした
「良質なタンパク質」という考え方です。

今できる最高の選択を。

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獣医かえちゃん
獣医かえちゃん
小動物勤務医
都内で勤務している獣医師です。 約10年間、犬と猫の診療に携わってきました。 診察室では 「これって病気?」 「様子を見ていい?」 といった質問をよく受けます。 このブログは、そんな日常の小さな不安に分かりやすく答えるために始めました。 専門用語はできるだけ使わず、 「今なにが起きているのか」「何に気をつければいいのか」を、 獣医として・飼い主としての両方の視点で情報を発信しています。 匿名質問(マシュマロ)も受け付けていますので、お気軽にどうぞ。
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