「血圧」はなぜ測るの?静かに進む“見えないダメージ
血圧って、人の病気じゃないんですか?

診察室で、よく聞かれる質問です。
でも実は、猫にも高血圧はあります。
しかも猫の高血圧は、
- 元気そうに見える
- 食欲もある
- 目立った症状がない
そんな状態のまま、静かに体を壊していくのが特徴です。
- 猫の高血圧は 症状が出にくい
- 気づいた時には 目・腎臓・脳 が傷ついていることも
- 腎臓病・甲状腺の病気と 強く関係
- 血圧は 測らないと分からない
- 早く見つけて管理できれば、守れる時間がある

猫の高血圧って、どんな状態?
血圧とは、
血液が血管の内側を押す力のことです。
この圧が高い状態が続くと、
血管や臓器はずっと無理をさせられている状態になります。
人で例えるなら、
ホースの水圧を強くし続けて、
ホースや蛇口が傷んでいくようなイメージです。
なぜ怖いの?
高血圧が猫の体に与える影響
猫の高血圧で特に問題になるのは、次の臓器です。
目(網膜)
- 突然見えなくなる
- 網膜剥離・出血
- ある日いきなり失明することも
実際に
「朝まで普通だったのに、急に家具にぶつかるようになった」
というケースもあります。
腎臓
- 血管が傷み、腎臓の負担が増える
- 腎臓病が 一気に進行
- 腎不全と高血圧が 悪循環 に
腎臓病の猫で血圧管理が重要なのは、このためです。
脳
- ふらつき
- 発作
- まれに脳出血・脳梗塞
猫の高血圧は「単独」で起きにくい
猫の高血圧は、
何かの病気にくっついて起きることがほとんどです。
代表的な原因はこちら。
- 慢性腎臓病(最も多い)
- 甲状腺機能亢進症
- 心臓病
- 薬の影響(ステロイドなど)
つまり、
血圧が高い= 血圧の病気 ではありません。
体のどこかに負担がかかっているサインとして
血圧が上がっていることが多いのです。

どのくらいから「高血圧」?
猫の血圧(収縮期血圧)
- ~140 mmHg:正常
- 140〜159 mmHg:境界域
- 160〜179 mmHg:高血圧
- 180 mmHg以上:重度高血圧(危険域)
特に 180mmHg以上 では、
目や脳のトラブルリスクが一気に高まります。
※測定環境によって多少前後しますが、目安です。
血圧はどうやって測るの?
基本的には人間とそこまで変わりはありません。
- 前足やしっぽにカフを巻く
- 人と同じ仕組み
- 痛みはほとんどありません
ただし大事なのは、
1回の数値だけで判断しないこと
猫は緊張しやすく、
病院で一時的に血圧が上がることもあります。
(人でいう白衣高血圧)
そのため、
- 複数回測定
- 定期的なチェック
が重要になります。

高血圧が見つかったら、どうする?
まずは本当に数値が正しいかを改めて確認しましょう。
本当に正しい場合、治療の目的はシンプルです。
臓器を守ること
基本的な考え方
- 原因疾患(腎臓・甲状腺など)の管理
- 必要に応じて血圧を下げる薬
- 定期的な血圧測定
「とにかく下げる」よりも、
安定させることが大切です。
飼い主さんにできること
血圧は測定しないとわかりません。
そのため測定してもらうことを心がけましょう。
- 腎臓病の猫は血圧測定を検討
- 定期健診で「血圧も測れますか?」と聞く
- 急な失明・ふらつきはすぐ受診
- 薬は自己判断で中断しない
まとめ
- 猫の高血圧は 静かに進む
- 症状が出た時には 進行していることも
- 腎臓病・甲状腺の病気と深く関係
- 血圧は 測らないと分からない
- 早期発見と管理で、守れる未来がある


よくある質問
- 猫にも本当に高血圧はあるんですか?
-
はい、あります。
猫の高血圧は珍しくありません。
特に高齢の猫や腎臓病の猫ではよく見られます。ただし症状が出にくいため、
測らないと気づかれないことが多い病気です。
- 高血圧でも元気そうに見えるのはなぜですか?
-
痛みや不快感が出にくいからです。
猫の高血圧は、体の中で静かに血管や臓器を傷つけていきます。
そのため 見た目が元気でも、目や腎臓がダメージを受けていることがあります。
- 失明してしまったら、元に戻りますか?
-
残念ながら、完全に戻らないことが多いです。
高血圧による網膜剥離や出血は、
早期であれば一部回復することもありますが、進行すると不可逆的 です。
だからこそ「見えなくなってから」ではなく、予防的な血圧管理 が大切です。
- 腎臓病と高血圧は、どちらが先ですか?
-
どちらが先か分からないことも多いです。
腎臓病が原因で血圧が上がることもあれば、
高血圧が腎臓をさらに傷つけることもあります。
この2つは お互いを悪化させ合う関係 にあります。
- 血圧は毎回測らないといけませんか?
-
すべての猫で必要なわけではありません。
ただし、以下の猫ちゃんでは定期測定をおすすめします。- 腎臓病がある
- 甲状腺の病気がある
- 7〜8歳以上の高齢猫
- 急な視力低下やふらつきがある
- 血圧の薬は一生飲み続ける必要がありますか?
-
状況によります。
原因となる病気が安定すれば減量・中止できることもありますが、
腎臓病など慢性的な病気がある場合は長期管理になることが多いです。
自己判断で中止せず、必ず獣医師と相談してください。
- 血圧測定は猫に負担になりませんか?
-
ほとんど負担はありません。
前足やしっぽにカフを巻くだけで、注射や痛みはありません。
ただし緊張で数値が上がることがあるため、複数回測定が重要です。
- 家で血圧を測ることはできますか?
-
現実的には難しいことが多いです。
猫用血圧計は扱いが難しく、正確な測定には慣れが必要です。
そのため、病院で定期的に測ることが基本になります。
- 高血圧を予防する方法はありますか?
-
完全な予防は難しいですが、リスクを下げることはできます。
- 腎臓病の早期発見・管理
- 定期健診(血液・尿・血圧)
- 食事管理と脱水予防
- 体調変化を早めに受診
- 飼い主として一番大切なことは?
-
「測らないと分からない病気」だと知っておくことです。
元気そうだから大丈夫、ではなく、
「今は大丈夫かを確認する」 という視点が、猫の健康を守ります。
今できる最高の選択を。
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