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【現役獣医が解説】インスリンって血糖値を下げるって合っていますか?

@vet-pet-care

インスリンって血糖値を下げるホルモンですよね?

間違いではありません。
でも、少しだけ本質は違います。

「インスリンは血糖値を下げるホルモンです。」

よく聞く説明です。
確かに間違いではありません。

でも本当は
インスリンは血液中の糖を細胞へ届けるホルモンです。

血糖値が下がるのはその結果です。
今日はその仕組みをイメージで整理してみます。

Take Home Message
  • インスリンは血糖を下げるではなく届けるホルモン
  • 血液検査で見えているのは倉庫の在庫だけ
  • 高血糖も低血糖も物流バランスの崩れ
  • カリウムやリンも一緒に動いている

血糖=倉庫にある荷物

血液中のブドウ糖を
「生活に必要な荷物」と考えてみます。

血液は物流倉庫です。

血液検査で見えている血糖値は、
倉庫に残っている荷物の量です。

つまり私たちが見ているのは
家の中ではなく、倉庫の在庫です。

細胞=家

エネルギーを本当に必要としているのは
筋肉や肝臓などの細胞。

つまりそれぞれの「家」です。

大切なのは、
倉庫に荷物があることではなく、
家の中にきちんと届いているかどうか。

インスリン=宅配会社

インスリンは
荷物を家まで届ける宅配会社です。

インスリンが働くと、

  1. 倉庫(血液)から
  2. 家(細胞)へ
  3. 荷物(ブドウ糖)が運ばれます。

その結果、
倉庫の在庫が減る
= 血糖値が下がる。

インスリンは血糖を下げるのではなく
運んでいるだけなのです。

インスリンが足りないと?

トラックが不足すれば
荷物は届きません。

倉庫に荷物が溜まり続ける
= 高血糖。

しかし家の中はエネルギー不足。

だから

  • 食べているのに痩せる
  • 筋肉が落ちてくる
  • 元気がない

という状態になります。

インスリンが効きにくい状態とは?

トラックは来ています。

でも家の中の人が
なかなか受け取りに出てこない。

インターホンを鳴らしても、
反応が鈍い。

これが
インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)です。

インスリンの量は足りているのに、
細胞が十分に反応しない。

その結果、
荷物は倉庫に残り続け、
血糖値が高くなります。

低血糖は何が起きている?

逆に、倉庫の荷物が
減りすぎてしまう状態が低血糖です。

インスリンが過剰に働くと、
荷物が一気に家へ運ばれます。
つまり倉庫の在庫がほとんどなくなります。

脳はブドウ糖を主なエネルギー源とするため、

  • ふらつき
  • 震え
  • 意識低下
  • 痙攣

などが起こります。

特に低血糖は急変することがあります。

リン=「段ボール」

ブドウ糖が荷物の中身なら、
リンはそれを包む段ボールです。

細胞はブドウ糖をそのまま使えません。
ATPという形に変換する必要があります。

そのためリンが必要になります。

インスリンが強く働くと、
リンも細胞内へ移動します。

血中リンが低下することがあるのは、
失われたのではなく、
場所が変わっただけです。

カリウムは「住みやすさを保つ室温」

カリウムはエネルギーではありません。
細胞の中の人が生活しやすい室温のような存在です。

家の中の室温がちょうど良いと、
中の人は無理なく動くことができます。

それと同じように、
細胞の中の環境が整っているからこそ、

  1. 筋肉が動き
  2. 神経が伝わり
  3. 心臓が規則正しく拍動します。

インスリンが来て荷物(ブドウ糖)を受け取るためにドアが開くと、
部屋の温度が少し変わるように、
カリウムも細胞の中へ移動します。

その結果、血液中のカリウムが低下することがあります。

これは体から失われたのではなく、
室温のバランスが内側に移動しただけです。

まとめ

インスリンは血糖値を下げるホルモン。

でも本質は、
糖を細胞へ届けるホルモン。

血糖値は倉庫の在庫。
本当に大切なのは
家の中で何が起きているか。

数字の裏側を見ることが
理解への第一歩です。

よくある質問

Q
インスリンは血糖値を下げるホルモンではないのですか?

間違いではありません。

ただ正確には、
インスリンは血液中の糖を細胞へ届けるホルモンです。

糖が細胞へ移動する結果として、
血糖値が下がります。

Q
血糖値が高いのに、体はエネルギー不足になるのですか?

そのとおりです。

倉庫(血液)に荷物があっても、
家(細胞)に届かなければ使えません。

そのため、

  • 食べているのに痩せる
  • 筋肉が落ちてくる
  • 元気がない

といった状態が起こります。

Q
インスリンが「効きにくい」とはどういう意味ですか?

インスリンは分泌されているのに、
細胞が十分に反応しない状態です。

例えるなら、

トラックは来ているのに、
家の人がなかなか受け取りに出てこない状態。

これをインスリン抵抗性といいます。

Q
なぜインスリンでカリウムが下がることがあるのですか?

インスリンが働くと、
ブドウ糖と一緒にカリウムも細胞内へ移動します。

体から失われたのではなく、
場所が移動しているだけです。

Q
血液検査だけで体の状態は分かりますか?

血液検査で見えているのは、
倉庫の在庫です。

本当に大切なのは、
家の中で何が起きているか。

数字だけでなく、
体の流れを理解することが大切です。

今できる最高の選択を。

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獣医かえちゃん
獣医かえちゃん
小動物勤務医
都内で勤務している獣医師です。 約10年間、犬と猫の診療に携わってきました。 診察室では 「これって病気?」 「様子を見ていい?」 といった質問をよく受けます。 このブログは、そんな日常の小さな不安に分かりやすく答えるために始めました。 専門用語はできるだけ使わず、 「今なにが起きているのか」「何に気をつければいいのか」を、 獣医として・飼い主としての両方の視点で情報を発信しています。 匿名質問(マシュマロ)も受け付けていますので、お気軽にどうぞ。
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