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愛犬・愛猫への「避妊・去勢手術」それは一生モノの健康の贈り物

@vet-pet-care

将来の病気を予約キャンセルして、穏やかな毎日を

避妊・去勢手術って、本当にした方がいいんでしょうか?
元気だし、今すぐ必要な気がしなくて…

そうですよね。
『しなきゃいけない』と言われると、不安になりますよね。

メリットもデメリットもあると聞いて、
どう考えたらいいのか分からなくて…

このお話は、
『する・しない』を決めるための正解を出すものではありません。
一緒に整理するための考え方からお話ししますね。

診察室で飼い主さんとお話ししていると、必ずと言っていいほど相談されるのが
「避妊・去勢手術をした方がいいのかどうか」というテーマです。

  • 気なのに手術が必要?
  • 麻酔が怖い
  • 太ると聞いたことがある

こうした不安は、とても自然なものです。

Take-home message
  • 不妊手術は将来の重大な病気を予約キャンセルする 
    「最高のプレゼント」 
  • 発情(生理)による免疫低下を防ぐことで 
    「1年中安定した体調」 を守れます
  • 一度の麻酔機会を活かし
     「乳歯・涙管・マイクロチップ」 のケアも検討しましょう
  • デメリットも理解した上で、愛犬・愛猫に 
    「一番の愛情」 を形にしてあげましょう

犬・猫の避妊去勢手術で防げる
将来の大きな病気

手術の最大のメリットは、
医学的に証明された「重い病気の予防」です。
単なる「繁殖を防ぐ手術」ではなく、
将来起こり得るトラブルを根本から減らす医療行為でもあります。

女の子(避妊手術)

早期の避妊手術は、
乳腺腫瘍と子宮の重い病気を強力に予防します。

乳腺腫瘍の圧倒的な予防
初回発情前に避妊手術を行うことで、
乳腺腫瘍の発生率は 
約0.5%(99%以上の予防効果) まで下がります。
猫では乳腺腫瘍の悪性度が高いため、
特に重要なポイントです。

子宮蓄膿症の回避
高齢期に命に関わることもある病気です。
避妊手術をしていれば
100%防ぐことができます。

男の子(去勢手術)

去勢手術は、
高齢期に増える前立腺や会陰部のトラブルを減らします。

精巣腫瘍・前立腺トラブル
精巣腫瘍のリスクをなくすとともに
高齢犬の多くが悩む「前立腺肥大」による
排泄トラブルや痛みを予防できます。

会陰ヘルニアの予防
男性ホルモンの影響で起こりやすく、
高齢期の生活の質を大きく下げる病気です。

獣医の知っ得

👉 「生理(発情期)」は体力を大きく削ります。

生理が来ると、体は「子供を受け入れる準備」のために免疫力が一時的にグンと落ちます。
皮膚病や糖尿病などの基礎疾患がある場合、この時期に症状が悪化することが珍しくありません。
また、統計的にも手術済みの場合平均寿命が長い傾向というデータがあります。

去勢を強く推奨する
「陰睾(いんこう)」

精巣が袋の中に降りてこず、
お腹の中等に留まっている状態を「陰睾」と呼びます。
体内温度にさらされ続けることで、
通常の精巣に比べて腫瘍化するリスクが10倍以上になります。
診断された場合は、早めの手術を強くおすすめします。

猫ちゃんの飼い主様へ

猫ちゃんの場合、
陰睾の子には稀にPSS(門脈シャント)という血管異常が隠れている可能性があります。
術前の検査で陰睾とわかったら、念のためPSSも含めて詳しく診てもらうことが、より安全な手術に繋がります。

 犬・猫の避妊去勢手術で太りやすくなる理由

手術後に太りやすくなると言われる理由は、
基礎代謝が約20〜30%低下する可能性があるためです。

同じ食事量を続けると、
余ったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。

太りやすくなるかどうかは、手術そのものではなく、
術後の食事と運動の管理でほぼ決まります。

「量」より「質」を見直して

代謝が落ちる分、ご飯を極端に減らすと空腹がストレスになります。
不必要な添加物を排除し、消化吸収の良さにこだわった食事への切り替えが最適です。

犬・猫の避妊去勢手術と麻酔|同時にできるケア

麻酔の機会は、実は体のケアをまとめて行えるチャンスでもあります。

おすすめの同時処置リスト

乳歯の抜歯
永久歯を邪魔する乳歯を抜き、
将来の歯周病を予防。

涙管拡張・洗浄
涙やけがひどい場合、
麻酔下で涙の通り道をきれいに掃除できます。

マイクロチップ装着
麻酔下なら痛みゼロで行えます。

「麻酔をかけるなら一緒に」が、体への負担を減らすこともあります。

目元とお口の綺麗を守るために
色々な歯ブラシを使ってきましたこれが一番使いやすかったです。
色によって異なりますがまずは青色がおすすめです。

洗浄後の涙やけを綺麗、
健康を維持するためにまずは腸内細菌叢から

当日チェックリスト

手術前日〜当日の準備

絶食時間の厳守
前夜9時以降は絶対に食べさせない。麻酔中の事故を防ぎます。
いつもの匂いのタオル
病院のケージでも安心できるよう持参するのがおすすめです。
術後服(エリザベスウェア)
最近はカラーよりストレスの少ないウェアが選べます。

カラーが苦手な子には
「術後服(エリザベスウェア)」

洋服タイプなので、ぶつかるストレスなく眠ったり食事ができます。
傷口を優しく保護し、回復をスムーズにするための必須アイテムです。

すぐに病院へ連絡すべき異常サイン

  • 傷口の出血・異常な腫れ
  • 何度も嘔吐や下痢などの
    消化器症状を繰り返す
  • 翌日になっても水も飲まず、全く動こうとしない

これらのサインが見られた場合は、
迷わず手術を受けた病院へ連絡してください。

メリット・デメリットのまとめ

避妊・去勢手術は
「絶対にすべきもの」でも
「やらなくてはいけないもの」でもありません。

ただし
将来の病気を予防できる選択肢のひとつであることは確かです。

メリットデメリット
健康生殖器系のガン
子宮蓄膿症を回避。
寿命が延びる傾向。
免疫低下による持病悪化を防ぐ
全身麻酔のリスク(極低確率)。
稀に尿失禁(薬で管理可能)。
管理発情期の体調不良
ストレスがなくなる。
太りやすくなる。
(代謝20〜30%低下)
繁殖望まない繁殖を確実に防げる。二度と子供を授かれない。
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Q
手術をしない選択は間違いですか?

間違いではありません。
繁殖管理や健康管理を理解したうえで選ぶことが大切です。

Q
高齢になってからでも手術は意味がありますか?

病気の種類によっては、予防効果が期待できる場合もあります。
年齢・体調・リスクを総合的に判断します。

Q
室内飼いなら避妊・去勢手術は必要ありませんか?

室内飼いでも、ホルモンの影響による病気は起こります。

  • 乳腺腫瘍
  • 子宮蓄膿症
  • 前立腺疾患

これらは
外に出るかどうかとは関係なく発生します。

生活環境だけで判断せず、
病気の予防という視点も含めて考えることが大切です。

Q
麻酔がとても怖いです

現在の麻酔は安全性が大きく向上しています。
術前検査でリスクを評価したうえで実施します。

Q
犬と猫で、避妊・去勢手術の考え方は違いますか?

基本的な目的は同じですが、重視されるポイントは少し異なります。


  • 乳腺腫瘍、子宮蓄膿症、前立腺疾患などの予防効果が重視されます。

  • 乳腺腫瘍(悪性が多い)や発情に伴うストレス・問題行動の予防効果が特に重要です。

どちらも
将来の病気を減らすという意味では共通していますが、
動物種によってメリットの比重が異なります。

Q
避妊・去勢手術をしないと、必ず病気になりますか?

必ず病気になるわけではありません。

ただし、
手術をしない場合は

  • 特定の病気のリスクが残る
  • 高齢になってから突然問題が起こる可能性がある

という点を理解しておく必要があります。


「しない=間違い」ではありませんが、
「将来のリスクを受け入れる選択」
 になります。

Q
避妊・去勢手術をして後悔することはありますか?

後悔が生じやすいのは、情報が足りないまま決めた場合です。

  • メリットだけを聞いていた
  • デメリットを知らなかった
  • 術後の変化を想像できていなかった

こうしたケースでは
「思っていたのと違った」と感じることがあります。

この記事のように
メリット・デメリットを理解したうえで選ぶことが、
後悔を減らす一番の方法です。

Q
高齢の犬や猫でも避妊・去勢手術はできますか?

年齢だけで一律に決めることはできません。

  • 全身状態
  • 心臓や腎臓の状態
  • 血液検査や画像検査の結果

を総合的に評価して判断します。

若い時期ほど予防効果は高いですが、
高齢でも意味があるケースはあります

Q
手術後、性格は変わりますか?

性格そのものが変わることはほとんどありません。

ただし、

  • 発情に伴うイライラ
  • 攻撃的・落ち着きのない行動

が和らぐことで、
**「性格が変わったように見える」**ことはあります。

基本的には
その子本来の性格がなくなるわけではありません。

Q
避妊・去勢手術をしない場合、気をつけることはありますか?

日常管理の重要性が高くなります。

  • 発情期の体調変化の観察
  • 繁殖事故の防止
  • 高齢期の定期検診

「しない選択」をした場合は、
より丁寧な健康管理が必要になります。

今できる最高の選択を。

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獣医かえちゃん
獣医かえちゃん
小動物勤務医
都内で勤務している獣医師です。 約10年間、犬と猫の診療に携わってきました。 診察室では 「これって病気?」 「様子を見ていい?」 といった質問をよく受けます。 このブログは、そんな日常の小さな不安に分かりやすく答えるために始めました。 専門用語はできるだけ使わず、 「今なにが起きているのか」「何に気をつければいいのか」を、 獣医として・飼い主としての両方の視点で情報を発信しています。 匿名質問(マシュマロ)も受け付けていますので、お気軽にどうぞ。
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