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【手術をする獣医が解説】犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?原因・グレード・症状を自転車のチェーンでやさしく解説

お散歩中に後ろ足をひょいっと上げて歩くトイ・プードルの水彩イラスト
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この記事を書いた人:獣医かえちゃん(獣医師。都内の動物病院で、犬と猫の診療に約10年たずさわっています)

【PR】この記事には広告が含まれています。

健康診断で「パテラがありますね」と言われました。
手術が必要なんでしょうか…

心配になりますよね。
でも、みんな手術になるわけではありません。
自転車のチェーンで考えてみましょう。

パテラは、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)のこと。
膝のお皿が、
決まった溝から外れてしまう病気です。

このシリーズは全4回。
今回は、どんな病気かのお話です。

Take Home Message
  • 膝のお皿はチェーン、太ももの骨の溝はギアの歯
  • チェーンがギアから外れるのが、パテラ
  • 小型犬に多く、飼い主さんのせいではない
  • グレードの数字と、症状の重さは別もの

パテラとは?

自転車に乗って走るトイ・プードルの水彩イラスト

膝のお皿は、
太ももの骨の溝の上を、
膝を曲げ伸ばしするたびにすべっています。

自転車でいうと、
お皿がチェーン、
溝がギアの歯です。

パテラは、
このチェーンがギアから外れてしまう状態です。

なぜ外れるの?

  • ギアの歯が低い(溝が浅い)
  • チェーンが斜めに引かれる(筋肉や骨の向きがずれている)
  • フレームが曲がっている(骨が曲がったり、ねじれたりしている)

こうした膝の形は、
生まれつきや、成長の途中でできることがほとんど。
飼い主さんのせいではありません。

どんな子に多い?

トイ・プードル、ポメラニアン、チワワ、
ヨークシャー・テリアなどの小型犬に多い病気です。(※1)

ほとんどは内側に外れるタイプ(85%)。
4割ほどの子は両方の膝に起きていて、
雌雄の差はありませんでした。(※2)

グレード1〜4

外れやすさを、4段階で表します。(※3)

グレードの目安
  • グレード1:手で押すと外れる。離すと戻る
  • グレード2:歩いていると、ときどき外れる
  • グレード3:いつも外れている。手で戻せる
  • グレード4:いつも外れていて、戻せない

ただし、
グレードの数字と、症状の重さは別ものです。
グレード2でも、まったく症状のない子はたくさんいます。

こんな歩き方はありませんか?

部屋を歩くトイ・プードルを飼い主さんがスマホで撮影している水彩イラスト
  • 歩いている途中で、片足をひょいと上げる(スキップ)
  • 数歩たつと、普通に歩く
  • 後ろ足がO脚っぽい

チェーンが外れると、
ペダルが空回りするように、
足にうまく力が入らなくなります。
数歩で戻るのは、チェーンがかかり直したから。

診察室では出ないことも多いので、
スマホで動画を撮っておくと役に立ちます。

スキップした日は、
私が作っているアプリ「わんダフルデイリー」に
お散歩と一緒にメモしておけます。
※App Store で配信中です(ダウンロード無料)。

おすすめ
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今日からできること

チェーンを外れにくくする、
3つの工夫です。
くわしくは第2回でお話しします。

① すべらない床に

すべる床は、膝の負担になります。
よく歩く場所には、すべらないマットを。

② 飛び降りを減らす

ソファの横のステップをゆっくり降りるトイ・プードルの水彩イラスト

ソファやベッドには、ステップを置いて、
飛び降りずに上り下りできるように。

③ 足裏の毛と爪を短く

タオルの上で眠るトイ・プードルの足裏の毛を飼い主さんが整えている水彩イラスト

足裏の毛や爪がのびると、
フローリングですべりやすくなります。

ほかの病気のこともある

スキップは、
股関節の病気や神経の病気、
前十字靭帯のけがでも起きます。

パテラがあっても、
歩きにくさの原因が別のところにあることも。
膝以外も含めて調べてもらいましょう。

前十字靭帯にも注意

パテラの膝は、
膝の中のブレーキ(前十字靭帯)にも負担がかかります。
小型犬のパテラでは、
2〜4割で前十字靭帯も切れていたという報告があります。(※4)

中高齢になって、
急に足を上げ続けるようになったら、
前十字靭帯も疑います。

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こんなときは早めに受診を
  • 足を上げたまま下ろさない
  • 触ると痛がる
  • 急に歩き方が悪くなった
  • スキップが2〜3週間以上続いている

よくある質問

Q
グレード2と言われました。重いほうですか?

数字だけでは決まりません。

スキップの回数や、痛がるかどうかが大切です。
動画やメモで残しておきましょう。

Q
両方の膝がパテラと言われました。

よくあることです。

左右でグレードが違うことも多いです。

Q
スキップしたら、すぐ病院へ?

すぐ戻って元気なら、あわてなくて大丈夫。

動画を撮って、次の診察で見てもらいましょう。
足を下ろさない、痛がるときは早めに受診を。

Q
猫にもパテラはありますか?

あります。

ベンガルやアビシニアンなどで見られます。

まとめ

パテラは、
膝のお皿(チェーン)が
溝(ギア)から外れる病気。

大切なのは、グレードの数字より、
その子の歩き方と毎日の様子です。

次回は、
手術をする?しない?のお話です。

次に読む
【手術をする獣医が解説】犬のパテラは手術する?しない?判断の目安とおうちでできること
【手術をする獣医が解説】犬のパテラは手術する?しない?判断の目安とおうちでできること

パテラシリーズ(全4回)

同じ自転車のチェーンのたとえで、
順番に読めるようになっています。

参考にした資料

  • ※1 O’Neill DG, Meeson RL, Sheridan A, Church DB, Brodbelt DC. The epidemiology of patellar luxation in dogs attending primary-care veterinary practices in England. Canine Genetics and Epidemiology. 2016;3:4. doi:10.1186/s40575-016-0034-0
  • ※2 Bosio F, Bufalari A, Peirone B, Petazzoni M, Vezzoni A. Prevalence, treatment and outcome of patellar luxation in dogs in Italy. A retrospective multicentric study (2009-2014). Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology. 2017;30(5):364-370. doi:10.3415/VCOT-16-05-0073(PubMed 28763525)
  • ※3 Singleton WB. The surgical correction of stifle deformities in the dog. Journal of Small Animal Practice. 1969;10(2):59-69.
  • ※4 Candela Andrade M, Slunsky P, Klass LG, Brunnberg L. Patellar luxation and concomitant cranial cruciate ligament rupture in dogs: a review. Veterinarni Medicina. 2022;67(4):163-178. doi:10.17221/111/2021-VETMED

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獣医かえちゃん
獣医かえちゃん
小動物勤務医
都内で勤務している獣医師です。 約10年間、犬と猫の診療に携わってきました。 診察室では 「これって病気?」 「様子を見ていい?」 といった質問をよく受けます。 このブログは、そんな日常の小さな不安に分かりやすく答えるために始めました。 専門用語はできるだけ使わず、 「今なにが起きているのか」「何に気をつければいいのか」を、 獣医として・飼い主としての両方の視点で情報を発信しています。 匿名質問(マシュマロ)も受け付けていますので、お気軽にどうぞ。また、動物病院の現場では、診察の記録を助ける獣医向けのAIツール「SOAPilot」の開発・運営もしています。
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