【手術をする獣医が解説】犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?原因・グレード・症状を自転車のチェーンでやさしく解説

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健康診断で「パテラがありますね」と言われました。
手術が必要なんでしょうか…

心配になりますよね。
でも、みんな手術になるわけではありません。
自転車のチェーンで考えてみましょう。

パテラは、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)のこと。
膝のお皿が、
決まった溝から外れてしまう病気です。
このシリーズは全4回。
今回は、どんな病気かのお話です。
- 膝のお皿はチェーン、太ももの骨の溝はギアの歯
- チェーンがギアから外れるのが、パテラ
- 小型犬に多く、飼い主さんのせいではない
- グレードの数字と、症状の重さは別もの
パテラとは?

膝のお皿は、
太ももの骨の溝の上を、
膝を曲げ伸ばしするたびにすべっています。
自転車でいうと、
お皿がチェーン、
溝がギアの歯です。
パテラは、
このチェーンがギアから外れてしまう状態です。
なぜ外れるの?
- ギアの歯が低い(溝が浅い)
- チェーンが斜めに引かれる(筋肉や骨の向きがずれている)
- フレームが曲がっている(骨が曲がったり、ねじれたりしている)
こうした膝の形は、
生まれつきや、成長の途中でできることがほとんど。
飼い主さんのせいではありません。
どんな子に多い?
トイ・プードル、ポメラニアン、チワワ、
ヨークシャー・テリアなどの小型犬に多い病気です。(※1)
ほとんどは内側に外れるタイプ(85%)。
4割ほどの子は両方の膝に起きていて、
雌雄の差はありませんでした。(※2)
グレード1〜4
外れやすさを、4段階で表します。(※3)
- グレード1:手で押すと外れる。離すと戻る
- グレード2:歩いていると、ときどき外れる
- グレード3:いつも外れている。手で戻せる
- グレード4:いつも外れていて、戻せない
ただし、
グレードの数字と、症状の重さは別ものです。
グレード2でも、まったく症状のない子はたくさんいます。
こんな歩き方はありませんか?

- 歩いている途中で、片足をひょいと上げる(スキップ)
- 数歩たつと、普通に歩く
- 後ろ足がO脚っぽい
チェーンが外れると、
ペダルが空回りするように、
足にうまく力が入らなくなります。
数歩で戻るのは、チェーンがかかり直したから。
診察室では出ないことも多いので、
スマホで動画を撮っておくと役に立ちます。
スキップした日は、
私が作っているアプリ「わんダフルデイリー」に
お散歩と一緒にメモしておけます。
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今日からできること
チェーンを外れにくくする、
3つの工夫です。
くわしくは第2回でお話しします。
① すべらない床に
すべる床は、膝の負担になります。
よく歩く場所には、すべらないマットを。
② 飛び降りを減らす

ソファやベッドには、ステップを置いて、
飛び降りずに上り下りできるように。
③ 足裏の毛と爪を短く

足裏の毛や爪がのびると、
フローリングですべりやすくなります。
ほかの病気のこともある
スキップは、
股関節の病気や神経の病気、
前十字靭帯のけがでも起きます。
パテラがあっても、
歩きにくさの原因が別のところにあることも。
膝以外も含めて調べてもらいましょう。
前十字靭帯にも注意
パテラの膝は、
膝の中のブレーキ(前十字靭帯)にも負担がかかります。
小型犬のパテラでは、
2〜4割で前十字靭帯も切れていたという報告があります。(※4)
中高齢になって、
急に足を上げ続けるようになったら、
前十字靭帯も疑います。

- 足を上げたまま下ろさない
- 触ると痛がる
- 急に歩き方が悪くなった
- スキップが2〜3週間以上続いている
よくある質問
-
Q
- グレード2と言われました。重いほうですか?
-
数字だけでは決まりません。
スキップの回数や、痛がるかどうかが大切です。
動画やメモで残しておきましょう。
-
Q
- 両方の膝がパテラと言われました。
-
よくあることです。
左右でグレードが違うことも多いです。
-
Q
- スキップしたら、すぐ病院へ?
-
すぐ戻って元気なら、あわてなくて大丈夫。
動画を撮って、次の診察で見てもらいましょう。
足を下ろさない、痛がるときは早めに受診を。
-
Q
- 猫にもパテラはありますか?
-
あります。
ベンガルやアビシニアンなどで見られます。
まとめ
パテラは、
膝のお皿(チェーン)が
溝(ギア)から外れる病気。
大切なのは、グレードの数字より、
その子の歩き方と毎日の様子です。
次回は、
手術をする?しない?のお話です。

パテラシリーズ(全4回)
同じ自転車のチェーンのたとえで、
順番に読めるようになっています。
- 第1回 犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?原因・グレード・症状(この記事)
- 第2回 パテラは手術する?しない?判断の目安とおうちでできること
- 第3回 パテラの手術とは?方法・結果・合併症
- 第4回 パテラの手術後のリハビリとお散歩
参考にした資料
- ※1 O’Neill DG, Meeson RL, Sheridan A, Church DB, Brodbelt DC. The epidemiology of patellar luxation in dogs attending primary-care veterinary practices in England. Canine Genetics and Epidemiology. 2016;3:4. doi:10.1186/s40575-016-0034-0
- ※2 Bosio F, Bufalari A, Peirone B, Petazzoni M, Vezzoni A. Prevalence, treatment and outcome of patellar luxation in dogs in Italy. A retrospective multicentric study (2009-2014). Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology. 2017;30(5):364-370. doi:10.3415/VCOT-16-05-0073(PubMed 28763525)
- ※3 Singleton WB. The surgical correction of stifle deformities in the dog. Journal of Small Animal Practice. 1969;10(2):59-69.
- ※4 Candela Andrade M, Slunsky P, Klass LG, Brunnberg L. Patellar luxation and concomitant cranial cruciate ligament rupture in dogs: a review. Veterinarni Medicina. 2022;67(4):163-178. doi:10.17221/111/2021-VETMED
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※この記事が、飼い主さんと動物たちの
安心につながればうれしいです。
ただ、体調や治療の判断はその子ごとに違います。
実際の方針については、
必ず主治医の先生の意見を大切にしてくださいね。
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