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【現役獣医が解説】犬の防災グッズ、本当に必要なものは?備えは「予告なしの1週間の旅」で考えよう

犬の防災グッズ、本当に必要なものは?リュックのほうを向いて伏せるミニチュアシュナウザー
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この記事を書いた人:獣医かえちゃん(獣医師。都内の動物病院で、犬と猫の診療に約10年たずさわっています)

【PR】この記事には広告が含まれています。

防災のニュースを見て、うちの子の備えが何もないことに気づいたんです。
犬の防災グッズって、何から買えばいいんでしょうか…

気づいたときが、始めどきです。
そして、全部を一度にそろえなくて大丈夫です。
大切なのは、買う数よりも持ち出す順番なんです。

犬の防災グッズは、
調べるほどリストが長くなって、
手が止まってしまいますよね。

この記事では、
災害への備えを予告なしの1週間の旅にたとえながら、

  • 本当に必要なものと、持ち出す順番
  • フードと水は、何日分あればいいのか
  • 持病のある子のお薬の備え
  • 避難先で困らないための、ふだんの練習

について、獣医師がやさしく解説します。

Take Home Message
  • 災害は予告なしの1週間の旅。荷物には順番がある
  • 1番は命に関わるもの。フードと水は少なくとも5日分、できれば7日分以上
  • 2番はその子のパスポート(持病やお薬の情報)
  • キャリーは買うだけでなく、好きな場所にしておく
  • 同行避難は、同じ部屋で過ごせるという意味ではない

災害は「予告なしの1週間の旅」

避難は、少し変わった旅です。

出発は突然。
行き先の様子も、
いつ帰れるかも分かりません。

だから、荷物を全部そろえる時間はないものと考えます。

ふだんの旅行なら、
パスポートと、毎日のお薬を忘れたら困りますよね。
逆に、おしゃれな服は現地でなくても何とかなります。

うちの子の備えも、同じです。

まず命。次に情報。最後に安心。

国の手引きでも、持ち出すものは
この順番で並んでいます。

犬の防災グッズ、本当に必要なものは3段階

玄関でリュックの中のにおいをかぐミニチュアシュナウザーの後ろ姿。水のボトルとリードが並ぶ

1番 命に関わるもの

これがないと、旅に出られません。

  • 療法食、お薬
  • フードと水(少なくとも5日分、できれば7日分以上)
  • キャリーバッグやケージ
  • 予備の首輪とリード(伸びないもの)
  • トイレシーツ、うんちの処理用品
  • 食器

防災バッグの中身は、まずこの6つからです。

うんちの袋は、においを閉じこめられるものがあると、
避難先でのまわりへの気づかいが、ずいぶん楽になります。
BOS のうんちが臭わない袋は、散歩でふだん使いしながら備えられます。

食器は軽いものが便利です。
折りたためるシリコンのボウルなら、バッグの隙間に入ります。

トイレシーツは、いつも使っているものを多めに。
厚型のトイレシーツは、車やケージの下に敷くのにも使えます。

2番 その子の情報(パスポート)

ここが、いちばん抜けやすいところです。

かかりつけの病院が閉まっていて、
はじめての病院で、うちの子のことを聞かれたとき。
お薬の名前を、すぐに言えますか?

その子のことを説明できるのは、飼い主さんだけです。

紙1枚に書いておくこと
  • 飼い主さんの連絡先、ほかの緊急連絡先、預け先
  • ワクチンの状況、これまでの病気、検査の結果
  • 飲んでいるお薬の名前と量、アレルギー
  • かかりつけの動物病院
  • うちの子の写真(顔と全身が分かるもの)

わんちゃんの情報は、
私が作っている犬との暮らしのアプリ「わんダフルデイリー」にも残せます。
健康パスポートに、ワクチンや検査の記録、アレルギー、
マイクロチップの番号を入れて、印刷や保存もできます。

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ただ、災害のときはスマホの充電が切れることもあります。
アプリに入れた情報は、紙にも1枚写してバッグに入れておくと安心です。

3番 あると助かるもの

ここは、あとからで間に合います。

  • タオル、ブラシ
  • ウェットタオル
  • ビニール袋
  • お気に入りのおもちゃなど、においのついたもの
  • ガムテープ、マジック

ビニール袋やガムテープは、100均でもそろいます。
でも、1番のお薬やフード、キャリーは、
その子に合うものでないと困ります。
ここは値段より先に、いつものものを選んでくださいね。

お風呂に入れない日が続くので、体をふくシートもあると助かります。
ジョイペットのボディータオルは、大判で枚数も多めです。

フードと水は、何日分あればいい?

目安は、少なくとも5日分、できれば7日分以上です。

フードは、いつものものを多めに

慣れないフードに急に変えると、
お腹をこわしたり、食べなかったりする子がいます。
不安な避難先なら、なおさらです。

防災用の特別なフードを買うより、
いつものフードを少し多めに買って、古いほうから使っていく。
これがいちばん続きます。

療法食の子は、手に入りにくくなることがあります。
残りが1週間を切る前に買い足す習慣をつけましょう。

水は、その子の1日の量を量ってみる

犬が飲む水の量は、体の大きさや季節、ご飯の種類で変わります。
決まった数字に合わせるより、
一度、1日に飲む量を量ってみてください。

朝にボウルへ入れた量から、翌朝の残りを引くだけです。
それに7をかけた量が、うちの子の分の目安です。

水は人の分と別に数えて、
2リットルの水をケースで置いておくと、
ふだん飲みながら入れかえられます。

持病のある子は、お薬がいちばんの荷物

旅先で、毎日のお薬が切れたら大変です。

ステロイド、てんかんのお薬、心臓のお薬、インスリン。
急に途切れると、体調を大きくくずすことがあるお薬があります。

避難のあとは、かかりつけの病院がすぐに開くとは限りません。
だから、ふだんの診察のときに聞いておいてください。

主治医に聞いておくこと
  • 予備はどのくらい持っておけるか
  • 飲めなかった日は、どうすればいいか
  • 冷蔵が必要なお薬の持ち出し方
  • 療法食が手に入らないときの、次の選択

お薬の保管は、説明書きの温度を守りましょう。
暑くなる車の中や、日の当たる玄関に
置きっぱなしにしないでくださいね。

※お薬の量を、自己判断で増やしたり減らしたりしないでください。

首輪まわりは、旅の名札

犬は、鑑札と狂犬病予防注射済票を
身につけることが法律で決まっています。

そこに連絡先を書いた迷子札とマイクロチップを足すと、
はぐれたときの手がかりが増えます。

マイクロチップは、入っていても登録の情報が古いと、連絡が届きません。
引っ越しや電話番号の変更があったおうちは、
一度たしかめておいてください。

名前と電話番号を刻める迷子札つきの首輪なら、
落としにくくて安心です。

リードは、伸びないものを予備に1本。
反射材のついたナイロンのリードは、夜の避難でも見つけてもらいやすいです。

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キャリーは、好きな場所にしておく

リビングのキャリーの中で丸くなって眠るミニチュアシュナウザー

避難先では、知らない人、知らない犬、知らないにおいに囲まれます。

そのとき、キャリーが安心できる自分の部屋になっている子は、
それだけで楽です。

実際の災害でも、ケージに慣れていなくて
強いストレスになった例が報告されています。

閉じこめる練習ではありません。
好きな場所にしていく練習です。

  • 扉を開けたまま、部屋に置いておく
  • 中でおやつやご飯をあげる
  • いつものタオルを敷いて、昼寝の場所にする
  • 扉を閉めるのは、中でくつろげるようになってから

押しこんだり、叱ったりはしないでくださいね。
怖い場所として覚えてしまいます。

上からタオルをかけて、
隠れられるようにすると落ち着く子もいます。

小型犬には、上からも横からも出し入れしやすいものが便利です。
リッチェルのキャンピングキャリーは、丸洗いもしやすい作りです。

両手を空けて歩きたいなら、
リュック型のキャリーもあります。

中型犬以上は、丈夫なクレートが安心です。
バリケンネルは、ふだんの寝床にしておくと、そのまま避難先の部屋になります。

大きくて持ち運べない子は、
「待て」「おいで」と、リードで落ち着いて歩く練習が備えになります。

音が苦手な子、留守番で強い不安が出る子は、
無理に慣らそうとせず、早めに主治医に相談してください。
いざというときに使えるお薬やサプリメントを、
一緒に考えることができます。

予防は、旅の前の予防接種

たくさんの犬が集まる場所では、感染症がうつりやすくなります。
咳がうつるケンネルコフも、そのひとつです。

  • 狂犬病の予防注射(義務)と、混合ワクチン
  • ノミ・マダニの予防
  • フィラリアの予防

どれも、ふだんの暮らしの続きです。
予防がすんでいる子は、
一時預かりを頼みやすいという面もあります。

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台風や大雨のあとは、もうひとつ注意があります。
ネズミの尿で汚れた水や土から、
レプトスピラ症という病気にかかることがあるんです。
人にもうつる病気です。

水が引いたあとの水たまりは、飲ませない、歩かせない。
川の近くや水害の多い地域に住むおうちは、
ワクチンの種類を主治医に相談してみてください。

同行避難と同伴避難は、違います

ここは勘ちがいの多いところです。

同行避難は、危ないと判断したときに、
うちの子を連れて避難する行動のことです。

避難所で同じ部屋にいられる、という意味ではありません。

避難所の中で一緒に過ごせることは、
同伴避難と呼ばれます。
受け入れの形は、避難所によって違います。

旅でいえば、宿の下調べです。

ふだんのうちに確かめること
  • 市区町村のページで、犬を受け入れる避難所を確認する
  • いつものお散歩で、避難所まで歩いてみる
  • 何分かかるか、ガラスや看板が落ちそうな場所はないか
  • 通れないときの、別の道はあるか
  • 親戚や友人など、預け先の候補を2つ以上考えておく

うちの子と実際に歩くと、
地図だけでは分からないことに気づきます。

自宅が安全なら、家に残る在宅避難という選択もあります。
車で過ごすときは、暑さと寒さに注意して、
犬だけを車に残さないようにしてください。

まとめ
予告なしの旅に、順番を決めておく

  • 災害は予告なしの1週間の旅
  • まず命(お薬、フードと水、キャリー)
  • 次に情報(その子のパスポートを紙1枚に)
  • 最後に安心(タオルやおもちゃ)
  • キャリーの練習と、避難所までのお散歩は今日からできる

全部を今日やらなくて大丈夫です。
まずは、フードがあと何日分あるかを数えるところから。

備えは、ふだんの暮らしの続きです。
一緒に、少しずつ荷物を整えていきましょう。

よくある質問

Q
犬の防災グッズは100均でそろいますか?

一部はそろいます。 ビニール袋、ガムテープ、マジック、タオルなどは100均で十分です。お薬、フード、キャリー、リードは、その子に合うものを選んでください。

Q
犬の防災バッグの中身はセットで買ったほうがいいですか?

セットでなくても大丈夫です。 セットは手軽ですが、お薬やいつものフードは入っていません。まず家にあるものを集めて、足りないものだけ買うのがおすすめです。

Q
ドッグフードは何日分備蓄すればいいですか?

少なくとも5日分、できれば7日分以上が目安です。 いつものフードを多めに買い、古いほうから使っていくと、備えが古くなりません。療法食の子は、早めに買い足してください。

Q
犬用の水は何リットル必要ですか?

飲む量は子によって違うので、まず1日の量を量ってみてください。 その量の7日分が目安です。人の分とは別に数えておきましょう。

Q
小型犬と大型犬で、防災グッズは変わりますか?

基本は同じです。 違うのは運び方です。小型犬はキャリーやリュック、中型犬以上はクレートとリードでの移動を考えます。フードと水の重さも、持って歩けるか一度確かめてください。

Q
避難所に犬を入れないと言われたらどうすればいいですか?

避難所の受け入れの形は、場所によって違います。 ふだんのうちに市区町村で確かめて、在宅避難、親戚や友人への預け先など、次の案を考えておくと安心です。

Q
留守番中に地震が来たらどうなりますか?

家具の転倒やガラスの飛散から、ケージのまわりを守っておきましょう。 家具を固定して、ケージは倒れてくるものの近くに置かないようにします。すぐに帰れないときに頼める人も、決めておくと安心です。

Q
地震のあと、犬が吠える、怖がって離れません。

叱らず、静かに落ち着ける場所を作ってあげてください。 タオルをかけたケージなど、隠れられる場所が役に立ちます。ご飯を食べない、震えが続くなどの様子が続くときは、病院に相談してください。

Q
防災用に犬の靴は必要ですか?

慣れている子なら、あると役に立つことがあります。 割れたガラスから足を守れます。ただ、いきなり履かせると歩けない子も多いので、ふだん慣れていないなら優先は低めです。

参考文献
環境省「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」(平成30年3月)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3009a.html
WSAVA Guidelines for the vaccination of dogs and cats(2024)
https://wsava.org/global-guidelines/vaccination-guidelines/
Sykes JE, et al. Updated ACVIM consensus statement on leptospirosis in dogs. J Vet Intern Med. 2023;37(6):1966-1982
https://doi.org/10.1111/jvim.16903

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獣医かえちゃん
獣医かえちゃん
小動物勤務医
都内で勤務している獣医師です。 約10年間、犬と猫の診療に携わってきました。 診察室では 「これって病気?」 「様子を見ていい?」 といった質問をよく受けます。 このブログは、そんな日常の小さな不安に分かりやすく答えるために始めました。 専門用語はできるだけ使わず、 「今なにが起きているのか」「何に気をつければいいのか」を、 獣医として・飼い主としての両方の視点で情報を発信しています。 匿名質問(マシュマロ)も受け付けていますので、お気軽にどうぞ。また、動物病院の現場では、診察の記録を助ける獣医向けのAIツール「SOAPilot」の開発・運営もしています。
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