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【現役獣医が解説】糖尿病って血糖値が高い病気でしょ?

@vet-pet-care

糖尿病と言われました。
血糖値が高いってことですよね?

血糖値が高いのは結果なんです。
本当に起きていることは、少し違います。

糖尿病を理解するには、
まず「インスリンとは何をしているのか」を知ることが大切です。

まだ読んでいない方は、
前回の記事
「インスリンって血糖値を下げるホルモン?」
から読むことをおすすめします。

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糖尿病は
「血糖値が高い病気」
と思われがちです。

でも実は、
本質はそこではありません。

Take Home Message
  • 糖尿病は「血糖値が高い病気」ではなく、
    糖が細胞に届かない病気
  • 原因はインスリンが足りない、または働きにくいこと
  • 血糖値という数字だけでは、本当の状態は分からない
  • 不足している場合は、外からインスリンを補う必要がある

正常な状態では

体の中では、次の順番で動いています。

食事をすると糖が体に入る
糖は血液中に吸収される
血糖値が上がる
それを感知してインスリンが分泌される
インスリンが糖を細胞へ届ける
細胞が糖をエネルギーとして使う
血糖値が落ち着く

そしてまた最初に戻ります。

このサイクルが回っていれば問題は起きません。

糖尿病では何が起きているの?

糖尿病とは、このサイクルがうまく回らなくなった状態です。

止まるのは5番目。
インスリンによる「宅配」です。

パターンは大きく二つあります。

  • インスリンが不足するタイプ(犬に多い)
    インスリンそのものが足りない場合。
  • インスリンが働きにくいタイプ(猫に多い)
    インスリンは出ているけれど、細胞がうまく反応しません。
    肥満や慢性的な炎症が関わります。
どちらも共通しているのは

血液中には糖があるのに、
細胞はエネルギー不足になるということです。

なぜ痩せるの?

どれだけたくさん食べていても
細胞にエネルギーが届かなければ意味がありません。

体は脂肪や筋肉を分解して
エネルギーを作ろうとします。

そのため、
食べているのに体重が減ります。

なぜ水をたくさん飲むの?

血液中にあふれた糖は、尿として出ます。

そのとき糖は、
体の水分を一緒に連れて外へ出ていきます。

その結果、

  1. 尿が増える
  2. 体の水分が減る
  3. 喉が渇く

という流れになります。

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なんでインスリンが効きにくくなるの?

糖尿病は単独で起こるとは限りません。
特に猫では、背景に別の問題があることが多いです。

例えば
  • 太りすぎ
  • 口の中の炎症
  • 体のどこかの感染
  • ホルモンの病気
  • 腎臓の病気
  • 膵臓の炎症
  • 妊娠や発情によるホルモン変化

こうした状態があると、
インスリンが効きにくくなります。

ストレスで血糖値が上がることもある

特に猫では、
病院に来ただけで血糖値が上がることがあります。

これは一時的な反応です。
宅配が止まっているわけではありません。

だからこそ、
一度の血糖値だけで糖尿病と判断することはできません。

糖毒性という悪循環

血糖値が高い状態が続くと、
その糖そのものがインスリンを出す細胞を疲れさせてしまいます。

すると

血糖が高い
インスリンがさらに出にくくなる
さらに血糖が上がる

という悪循環が起きます。

これを糖毒性といいます。

高い血糖の状態そのものが、
体をさらに悪化させてしまうのです。

だからこそ、
血糖値を整えることには意味があります。

寛解とはどういう状態?

糖尿病では、治療を始めたあとに

インスリンを使わなくても
血糖値が安定することがあります。

これを「寛解」といいます。
ただし、これは「完治」とは少し違います。

膵臓が完全に元通りになったわけではなく、
自分のインスリンでコントロールできている状態です。

なぜ猫では「寛解」が起きることがあるのか

猫の糖尿病は、
初期の段階では「インスリンが働きにくい状態」であることが多いです。

血糖値が高い状態が続く
糖毒性が起きる
インスリンを出す細胞が疲れてしまう

という流れになります。

しかし、
早い段階で血糖値を整えると、
この疲れている状態が回復することがあります。

つまり、
細胞が完全に壊れているわけではなく、
疲れて休んでいる状態であれば、
元に戻る可能性があるのです。

これが、猫で寛解が起こる理由のひとつです。

ただし、
糖毒性が長く続いてしまうと、
細胞は回復できなくなります。

だからこそ、
早期発見と適切な早期介入が重要になります。

大切なこと

寛解は
「何もしなくても治る」状態ではありません。

  • 早期発見
  • 早期治療
  • 適切な体重管理

これがあって初めて目指せる状態です。

そして、
たとえ寛解しても再発することはあります。

だからこそ、
継続的な管理と観察が重要になります。

まとめ

糖尿病とは、
血糖値が高いという数字の問題ではなく、
糖が細胞に届かなくなる状態のことです。

インスリンが足りない
もしくは働かない結果、
体は糖をうまく使えなくなります。

そして血糖が高い状態が続くと、
さらに体を疲れさせてしまいます。

大切なのは

  • なぜ届いていないのか
  • 何が邪魔しているのか

そこを理解することが、
糖尿病を正しく知る第一歩です。

よくある質問

Q
糖尿病は治りますか?

犬では基本的に継続的な管理が必要です。
猫では早期であれば回復する可能性があります。

Q
血糖値が一度高かっただけで糖尿病ですか?

必ずしもそうではありません。

特に猫では、
緊張やストレスだけで血糖値が上がることがあります。

一度の数値だけで判断せず、
複数の検査や経過を合わせて評価します。

Q
なぜ急に痩せてしまうのですか?

糖が細胞に届かないと、
体は脂肪や筋肉を分解してエネルギーを作ろうとします。

そのため、
食べていても体重が減ることがあります。

Q
なぜ水をたくさん飲むのですか?

血液中にあふれた糖は尿に出ます。

そのとき糖は、
体の水分を一緒に連れて外へ出ていきます。

そのため尿が増え、
体の水分が減り、喉が渇きます。

Q
どうしてインスリンが必要になるのですか?

インスリンが不足すると、
糖を細胞に届けることができません。

外から補うことで、
エネルギーの流れを整えることが目的です。

Q
糖尿病は突然なりますか?

突然見つかることはありますが、
体の中では少しずつ変化が進んでいることがほとんどです。

特に猫では、
体重増加や肥満が続いたあとに発症することがあります。

Q
食事が原因ですか?

食事だけが原因というわけではありません。

  • 肥満
  • 高カロリーな食生活
  • 運動不足

はリスクを高めます。体重管理はとても重要です。

Q
インスリン注射は一生続きますか?

犬では基本的に継続が必要です。

猫では寛解する可能性がありますが、
すべての猫に起こるわけではありません。

Q
痩せているのに糖尿病になりますか?

なります。
特に犬では、肥満と関係なく発症することがあります。

Q
放置するとどうなりますか?

血糖値が高い状態が続くと、
糖毒性が進みます。

さらに悪化すると、

  • 食欲低下
  • 元気消失
  • 嘔吐

などの症状が出て、
命に関わる状態に進むこともあります。

今できる最高の選択を。

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ただ、体調や治療の判断はその子ごとに違います。
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獣医かえちゃん
獣医かえちゃん
小動物勤務医
都内で勤務している獣医師です。 約10年間、犬と猫の診療に携わってきました。 診察室では 「これって病気?」 「様子を見ていい?」 といった質問をよく受けます。 このブログは、そんな日常の小さな不安に分かりやすく答えるために始めました。 専門用語はできるだけ使わず、 「今なにが起きているのか」「何に気をつければいいのか」を、 獣医として・飼い主としての両方の視点で情報を発信しています。 匿名質問(マシュマロ)も受け付けていますので、お気軽にどうぞ。
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