肝臓

黄疸とは?体が黄色になったときに何が起きているの?|現役獣医が分かりやすく解説します。

@vet-pet-care

目や皮膚が黄色いとき、体の中で何が起きているのか

体が黄色くなる「黄疸」と言われました。
それって、そんなに悪い状態なんでしょうか?

黄疸と聞くと、すごく重い病気を想像しますよね。
でも実は、黄疸そのものは症状の名前であって、
まず大切なのはなぜ黄色くなっているのかを知ることなんです。

原因が分かれば、対処できることもあるんですか?

原因が分かれば
選択肢や治療法が見つかるケースも少なくありません

「黄疸が出ています」

そう言われたとき、
それはどれくらい深刻な状態なのでしょうか?

頭が真っ白になった経験はありませんか?

皮膚や白目が黄色くなる――
それだけで
「もう手遅れなのでは」
「重い病気なのでは」
と、不安が一気に押し寄せてくる飼い主さんはとても多いです。

でも、黄疸は病名ではありません
体の中で起きている異常を知らせる、
ひとつのサインにすぎないのです。

原因が分かれば、
治療の選択肢が見えてくるケースも少なくありません。

この記事では、

  • 黄疸とは何を意味するのか
  • 体の中で何が起きているのか
  • どこを見れば「重さ」を判断できるのか


できるだけ難しい専門用語を使わずに
獣医師の立場から整理してお話しします。

はじめに
「肝臓が悪い」と言われたときにまず読んでほしい数値の正体
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Take Home Message
  • 黄疸は「病名」ではなく、体からの重要なサイン
  • 原因は 犬も猫も共通して大きく3つに分けて考える
  • 見た目で分かる黄疸は、早めの受診が必要な状態
  • 原因を正しく知ることで、取れる治療の選択肢が広がる

「目が黄色い」と言われたら

「白目が少し黄色いですね」
「黄疸が出ています」

こう言われると、
犬でも猫でも、飼い主さんは一気に不安になります。

  • 重い病気なのでは?
  • もう手遅れ?
  • 何が起きているの?

まず知っておいてほしいのは、
黄疸そのものは病名ではないということです。

黄疸は、
体の中で何か異常が起きていることを知らせるサインです。

黄疸とは何か?

黄疸とは、

  • 目の白い部分
  • 歯ぐき
  • 耳の内側
  • 皮膚

黄色く見える状態を指します。

これは
ビリルビンという黄色い色素が
血液中に増えることで起こります。

ビリルビンはどこから来る?

ビリルビンは、
古くなった赤血球が壊れるときに作られます。

通常は、

赤血球が壊れる
ビリルビンができる
肝臓で処理される
胆汁として腸へ流れる
便として排泄される

という流れで、
体に溜まらないように処理されています。

この流れのどこかでトラブルが起きると
黄疸として現れます。

ビリルビンには「2つの形」があります

黄疸の原因として出てくる
ビリルビン ですが、
実はこのビリルビンには 2種類 があります。

専門的には、

  • 間接ビリルビン
  • 直接ビリルビン

と呼ばれています。

名前は難しく感じますが、
役割を知ると意外とシンプルです。

間接ビリルビン
まだ処理されていない状態

間接ビリルビンは、

赤血球が壊れたときに最初にできる
「処理前のビリルビン」 です。

  • 水に溶けにくい
  • そのままでは体の外に出せない
  • 一度、肝臓に運ばれて処理される必要がある

イメージとしては、
まだ分別されていないゴミ のような状態です。

直接ビリルビン
処理が終わった状態

直接ビリルビンは、

肝臓で加工・処理されたあとの
「排泄できる形になったビリルビン」 です。

  • 水に溶けやすい
  • 胆汁として腸に流れる
  • 便として体の外に排出される

こちらは、
分別が終わって回収に出されたゴミ のイメージです。

黄疸は「どこで詰まったか」を考えるサイン

黄疸が出ているときは、

  • 処理前のビリルビンが増えているのか
  • 処理後のビリルビンが流れなくなっているのか
  • 両方がうまくいっていないのか

体の中の どこかで流れが滞っている 状態です。

この考え方が、
次に説明する
肝前性・肝性・肝後性黄疸 につながります。

黄疸は3つに分けて考えます

黄疸は原因によって、
大きく3つのタイプに分類されます。

肝前性かんぜんせい黄疸(肝臓に入る前の問題)

赤血球が過剰に壊れている状態です。

主な原因
  • 溶血性貧血
  • 免疫介在性溶血性貧血(IMHA、PIMAなど)
  • 重度の感染症 など

肝臓自体は正常でも、
処理できないほどのビリルビンが一気に発生します。

※ 犬で比較的よく見られます。

肝性かんせい黄疸(肝臓そのものの問題)

肝臓の細胞がダメージを受け、
ビリルビンを処理できなくなっている状態です。

主な原因
  • 肝炎
  • 脂肪肝(肝リピドーシス)
  • 中毒
  • 腫瘍
  • 感染症

犬・猫ともに見られますが、
猫では特に重要な原因になります。

肝後性かんこうせい黄疸(胆汁の流れ道の問題)

肝臓で作られた胆汁が
腸へ流れなくなっている状態です。

主な原因
  • 胆管閉塞
  • 胆石
  • 膵炎などの炎症による圧迫
  • 腫瘍

「出口が詰まり、逆流している」イメージです。

見た目で分かる黄疸は要注意

血液検査で数値が少し高いだけの段階と違い、

  • 目で見て分かる
  • 皮膚が黄色い

という黄疸は、
体の中である程度進行していることが多いです。

元気食欲があっても
原因を探る検査がとても重要になります。

黄疸が出たときに行う検査

病院では、以下を組み合わせて評価します。

  • 血液検査(肝酵素・ビリルビン)
  • 貧血の有無(再生像の有無)
  • 超音波検査(肝臓・胆嚢・胆管・膵臓)
  • 必要に応じて追加検査

数値だけで決めつけないことが大切です。

黄疸は「様子見」より「原因探し」

黄疸は、様子見でいいサインではなく
原因検索を急ぐべきサインです。

原因によっては、

  • 内科治療で改善できるもの
  • 早期対応が予後を大きく左右するもの

があります。

まとめ

  • 黄疸は犬・猫共通の重要なサイン
  • 原因は肝前性・肝性・肝後性の3つ
  • 見た目で分かる黄疸は放置しない
  • 早く気づくほど、守れる選択肢が増える

今できる最高の選択を。

よくある質問

Q
黄疸が出ている=命に関わる状態ですか?

必ずしもそうではありません。
黄疸は病名ではなく、体の中で起きている異常を知らせるサインです。
原因によっては内科治療で改善するケースもあります。
ただし、見た目で分かる黄疸は軽い状態ではないことが多いため、早めの検査が重要です。

Q
元気や食欲があっても、黄疸は心配ですか?

はい、心配です。
黄疸は、元気や食欲が保たれている段階でも出ることがあります。
「元気だから大丈夫」と判断せず、
原因を調べることがとても大切です。

Q
黄疸は自然に治ることはありますか?

原因によってはありえるかもしれませんが、自己判断は危険です。
一時的な原因で改善するケースもありますが、
胆管閉塞や重度の肝障害など、
放置すると急激に悪化する原因も含まれます。
必ず原因を確認する必要があります。

Q
すぐに手術ですか?

原因と状態によります。
肝後性黄疸(胆管閉塞など)では、
外科的治療が必要になるケースもあります。
一方で、全身状態が悪い場合は
先に内科的に安定させることが優先されます。

Q
黄疸は「様子見」してもいいですか?

おすすめしません。
黄疸は
「様子見でよいサイン」ではなく、
原因検索を急ぐべきサインです。
特に見た目で分かる黄疸は、早めの受診が重要です。

Q
黄疸が治る=原因も治った、でいいですか?

必ずしも同じではありません。
黄疸が改善しても、
根本原因が完全に解決していない場合もあります。
再発防止のためにも、経過観察や再検査が重要です。

Q
黄疸があると、なぜ元気がなくなることが多いのですか?

ビリルビンが増える背景には、

  • 肝臓の機能低下
  • 炎症
  • 胆汁うっ滞
    など、全身に影響する異常があるためです。
    黄疸そのものより、原因疾患が体力を奪います。
Q
高齢だから黄疸が出やすい、ということはありますか?

年齢そのものが原因ではありません。
ただし高齢になると、

  • 肝臓疾患
  • 腫瘍
  • 胆道系トラブル
    が増えるため、結果として黄疸を伴う病気が増えます。
Q
ステロイドで黄疸は良くなりますか?

原因次第です。

  • 免疫介在性溶血性貧血 → 有効なことが多い
  • 胆管閉塞・胆石 → 逆効果になることも

「黄疸=ステロイド」ではありません。

Q
黄疸があると入院が必要ですか?

状態によります。

  • 全身状態が安定 → 通院治療
  • 食欲低下・脱水・数値の急変 → 入院管理

黄疸そのものではなく、体全体の状態で判断します。

Q
一度黄疸が出たら、もう元には戻りませんか?

戻るケースも多くあります。

  • 一過性の肝炎
  • 早期対応できた胆道トラブル
    では、黄疸が消失することも珍しくありません。
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獣医かえちゃん
獣医かえちゃん
小動物勤務医
都内で勤務している獣医師です。 約10年間、犬と猫の診療に携わってきました。 診察室では 「これって病気?」 「様子を見ていい?」 といった質問をよく受けます。 このブログは、そんな日常の小さな不安に分かりやすく答えるために始めました。 専門用語はできるだけ使わず、 「今なにが起きているのか」「何に気をつければいいのか」を、 獣医として・飼い主としての両方の視点で情報を発信しています。 匿名質問(マシュマロ)も受け付けていますので、お気軽にどうぞ。
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