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【現役獣医が解説】猫の前十字靭帯断裂とは?犬との違いと気づきたいサイン

キャットタワーの上の段を見上げて座る、キジ白の猫の水彩イラスト。猫の前十字靭帯断裂、犬との違いと気づきたいサインの文字入り
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この記事を書いた人:獣医かえちゃん(獣医師。都内の動物病院で、犬と猫の診療に約10年たずさわっています)

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うちの猫が、急に後ろ足をかばうようになって…
前十字靭帯って、猫でも切れるんですか?

犬ほど多くはありませんが、
猫でも起こることがあります。

犬とは違うんですか?

少し違うところがあるんです。
坂道に止めた車で比べてみましょう。

このシリーズでは、
膝を坂道に止めた車、
前十字靭帯をサイドブレーキにたとえて
犬のお話をしてきました。

犬の前十字靭帯断裂
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂とは?原因・症状を坂道に止めた車でやさしく解説
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂とは?原因・症状を坂道に止めた車でやさしく解説

今回は、猫のお話です。
短めにまとめますね。

Take Home Message
  • 猫でも前十字靭帯断裂は起こるが、犬より少ない
  • 落下などのけがや、太り気味・中高齢が関係することが多いとされる
  • 猫は痛みを隠すのが上手。ジャンプしなくなったは大切なサイン
  • 膝のほかの靭帯や、タイヤ(半月板)も一緒に傷んでいることがある
  • 治療は、手術と保存療法のどちらも。担当医と相談を

猫の膝も、坂道に止めた車

猫の膝も、
すねの骨という坂の上に、
太ももの骨という車がのり、
前十字靭帯というサイドブレーキで
車を止めています。

ただ、猫では、
犬のようにブレーキが毎日すり減って切れることは
少ないとされています。(※1)

どんなときに起こる?

落下などのけが

高いところからの落下や、事故などのけがで
ブレーキが切れることがあります。

この場合、
ブレーキだけでなく、
膝のほかの靭帯やタイヤ(半月板)も
一緒に傷んでいることがあります。

前十字靭帯が切れた猫の膝を調べた研究では、
およそ3分の2(67%)で
タイヤ(半月板)も傷んでいました。(※3)

太り気味・中高齢の猫

大きなけががなくても、
荷物が重い(太り気味)猫や、
中高齢の猫で切れることがあります。

前十字靭帯が切れた猫は、
一般的な猫より体重が重かったという報告もあります。(※2)

こんな様子があったら

トイレに向かってゆっくり歩くキジ白の猫の後ろ姿の水彩イラスト
トイレの出入りがぎこちないのも、気づきたいサインのひとつです
  • 後ろ足をかばう・浮かせる
  • ジャンプしなくなった・高いところに上らない
  • トイレの出入りがぎこちない
  • じっとしている時間が増えた
  • 膝のあたりを触られるのを嫌がる

猫は痛みを隠すのが上手です。

年のせいかな、と思っていたら膝だった、
ということもあります。

ジャンプの回数や、動いている時間の変化は、
毎日見ていても、なかなか気づけません。
首輪につけるだけで、
食事・運動・睡眠などの行動を
自動で記録してくれる道具もあります。

行動の変化を記録できる首輪型の Catlog

猫は犬よりも少ないですが、
見つけ方は犬と同じです。
膝を触って確かめる触診や、
レントゲン検査で見つけていきます。
気になる様子があれば、
一度見せてくださいね。

犬との違い

猫と犬のちがい
  • 起こる頻度:犬より少ない
  • きっかけ:けがや、太り気味・中高齢が関係することが多い
  • 一緒に傷む場所:ほかの靭帯や半月板も傷んでいることがある
  • 治療:体が軽いので、保存療法で落ち着く猫も多い

治療の考え方

診察台のタオルの上で、獣医さんに後ろ足をやさしく触ってもらうキジ白の猫の水彩イラスト
猫でも、触診やレントゲン検査で見つけていきます

体が軽い猫では、
荷物を減らす(体重管理)・安静・痛み止めで
落ち着くこともあります。

けがでほかの靭帯も傷んでいる場合や、
なかなか良くならない場合は、
手術を考えます。

手術が必要な場合も、猫では、
代わりのワイヤー(糸)を張る手術(関節外法)で、
十分に良くなることが期待できます。

猫でも、体重管理は膝を守る大切な一歩です。

猫の体重は、抱っこして量っても
小さな変化がわかりにくいものです。
トイレの下に置くだけで、使うたびに体重を量ってくれる
トレッタやCatlog Boardといった道具もあります。

丸いベッドで丸まって眠るキジ白の猫と、量をはかったごはんの水彩イラスト
体重管理は、猫の膝を守る大切な一歩です

まとめ

猫の前十字靭帯断裂は、
犬より少ないものの、
けがや太り気味・中高齢の猫で起こることがあります。

ジャンプしなくなった、
後ろ足をかばう、
そんな様子があれば、
一度動物病院で診てもらってくださいね。

前十字靭帯シリーズ(全5回)

同じ坂道の車のたとえで、
順番に読めるようになっています。

シリーズ第1回
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂とは?原因・症状を坂道に止めた車でやさしく解説
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂とは?原因・症状を坂道に止めた車でやさしく解説
シリーズ第2回
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂の手術とは?TPLOと関節外法の違いを坂道の車でやさしく解説
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂の手術とは?TPLOと関節外法の違いを坂道の車でやさしく解説
シリーズ第3回
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂は手術しないとどうなる?保存療法でできることと限界
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂は手術しないとどうなる?保存療法でできることと限界
シリーズ第4回
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂、手術後のリハビリとお散歩。補助ブレーキを少しずつ鍛えよう
【手術をする獣医が解説】犬の前十字靭帯断裂、手術後のリハビリとお散歩。補助ブレーキを少しずつ鍛えよう

参考にした資料

  • ※1 American College of Veterinary Surgeons(ACVS). Cranial Cruciate Ligament Disease.(米国獣医外科専門医協会の飼い主向け解説)https://www.acvs.org/small-animal/cranial-cruciate-ligament-disease/
  • ※2 Harasen G. Feline cranial cruciate rupture: 17 cases and a review of the literature. Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology. 2005.
  • ※3 Ruthrauff CM, Glerum LE, Gottfried SD. Incidence of meniscal injury in cats with cranial cruciate ligament ruptures. Canadian Veterinary Journal. 2011;52(10):1106-1110.(PubMed 22467966)

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獣医かえちゃん
獣医かえちゃん
小動物勤務医
都内で勤務している獣医師です。 約10年間、犬と猫の診療に携わってきました。 診察室では 「これって病気?」 「様子を見ていい?」 といった質問をよく受けます。 このブログは、そんな日常の小さな不安に分かりやすく答えるために始めました。 専門用語はできるだけ使わず、 「今なにが起きているのか」「何に気をつければいいのか」を、 獣医として・飼い主としての両方の視点で情報を発信しています。 匿名質問(マシュマロ)も受け付けていますので、お気軽にどうぞ。また、動物病院の現場では、診察の記録を助ける獣医向けのAIツール「SOAPilot」の開発・運営もしています。
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