【現役獣医が解説】猫の前十字靭帯断裂とは?犬との違いと気づきたいサイン

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うちの猫が、急に後ろ足をかばうようになって…
前十字靭帯って、猫でも切れるんですか?

犬ほど多くはありませんが、
猫でも起こることがあります。

犬とは違うんですか?

少し違うところがあるんです。
坂道に止めた車で比べてみましょう。

このシリーズでは、
膝を坂道に止めた車、
前十字靭帯をサイドブレーキにたとえて
犬のお話をしてきました。

今回は、猫のお話です。
短めにまとめますね。
- 猫でも前十字靭帯断裂は起こるが、犬より少ない
- 落下などのけがや、太り気味・中高齢が関係することが多いとされる
- 猫は痛みを隠すのが上手。ジャンプしなくなったは大切なサイン
- 膝のほかの靭帯や、タイヤ(半月板)も一緒に傷んでいることがある
- 治療は、手術と保存療法のどちらも。担当医と相談を
猫の膝も、坂道に止めた車
猫の膝も、
すねの骨という坂の上に、
太ももの骨という車がのり、
前十字靭帯というサイドブレーキで
車を止めています。
ただ、猫では、
犬のようにブレーキが毎日すり減って切れることは
少ないとされています。(※1)
どんなときに起こる?
落下などのけが
高いところからの落下や、事故などのけがで
ブレーキが切れることがあります。
この場合、
ブレーキだけでなく、
膝のほかの靭帯やタイヤ(半月板)も
一緒に傷んでいることがあります。
前十字靭帯が切れた猫の膝を調べた研究では、
およそ3分の2(67%)で
タイヤ(半月板)も傷んでいました。(※3)
太り気味・中高齢の猫
大きなけががなくても、
荷物が重い(太り気味)猫や、
中高齢の猫で切れることがあります。
前十字靭帯が切れた猫は、
一般的な猫より体重が重かったという報告もあります。(※2)
こんな様子があったら
- 後ろ足をかばう・浮かせる
- ジャンプしなくなった・高いところに上らない
- トイレの出入りがぎこちない
- じっとしている時間が増えた
- 膝のあたりを触られるのを嫌がる
猫は痛みを隠すのが上手です。
年のせいかな、と思っていたら膝だった、
ということもあります。
ジャンプの回数や、動いている時間の変化は、
毎日見ていても、なかなか気づけません。
首輪につけるだけで、
食事・運動・睡眠などの行動を
自動で記録してくれる道具もあります。
猫は犬よりも少ないですが、
見つけ方は犬と同じです。
膝を触って確かめる触診や、
レントゲン検査で見つけていきます。
気になる様子があれば、
一度見せてくださいね。

犬との違い
- 起こる頻度:犬より少ない
- きっかけ:けがや、太り気味・中高齢が関係することが多い
- 一緒に傷む場所:ほかの靭帯や半月板も傷んでいることがある
- 治療:体が軽いので、保存療法で落ち着く猫も多い
治療の考え方
体が軽い猫では、
荷物を減らす(体重管理)・安静・痛み止めで
落ち着くこともあります。
けがでほかの靭帯も傷んでいる場合や、
なかなか良くならない場合は、
手術を考えます。
手術が必要な場合も、猫では、
代わりのワイヤー(糸)を張る手術(関節外法)で、
十分に良くなることが期待できます。
猫でも、体重管理は膝を守る大切な一歩です。
猫の体重は、抱っこして量っても
小さな変化がわかりにくいものです。
トイレの下に置くだけで、使うたびに体重を量ってくれる
トレッタやCatlog Boardといった道具もあります。
まとめ
猫の前十字靭帯断裂は、
犬より少ないものの、
けがや太り気味・中高齢の猫で起こることがあります。
ジャンプしなくなった、
後ろ足をかばう、
そんな様子があれば、
一度動物病院で診てもらってくださいね。
前十字靭帯シリーズ(全5回)
同じ坂道の車のたとえで、
順番に読めるようになっています。




参考にした資料
- ※1 American College of Veterinary Surgeons(ACVS). Cranial Cruciate Ligament Disease.(米国獣医外科専門医協会の飼い主向け解説)https://www.acvs.org/small-animal/cranial-cruciate-ligament-disease/
- ※2 Harasen G. Feline cranial cruciate rupture: 17 cases and a review of the literature. Veterinary and Comparative Orthopaedics and Traumatology. 2005.
- ※3 Ruthrauff CM, Glerum LE, Gottfried SD. Incidence of meniscal injury in cats with cranial cruciate ligament ruptures. Canadian Veterinary Journal. 2011;52(10):1106-1110.(PubMed 22467966)
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